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海外ひとり旅の事件簿(4)ニセ警官あらわる2/3 [旅のこと]

サンタクルスという町にいたときだった、ような気がするが、どこでだったかは記憶が定かでない。まあ忘れてしまったということだが。
その日は日曜日だった。町外れの安宿から、町の中心部あたりを散歩しようと思って出かけた。ガイドブックの小さな地図を頼りに歩いていった。ほうほう、ここがこの教会か、などとのんきに思いながら。
歩いているうちに、閑散とした住宅街になった。通行人が全くいなかった。あとで思ったには、日曜日だったからだろう。家にいる時間か、教会に行く時間か、それとも危険だからと家に隠れている時間だったかもしれないが。
カラフルな家並みがいいなあと思ったので、カメラバッグからカメラを出して写真を撮った。たまには写真も撮る。
カメラをしまうかしまわないうちに、後ろから呼びかけられて、
「今写真を撮ったろう。ここは写真を撮ってはいけないのだ。」
というようなことを言い、彼はニセの警察のIDカードを出して見せつけた。(今思うと、一瞬ですぐにしまったのも怪しかった)
イエメンで、通りからモスクを撮ったときには、通りがかりのじいさんに難癖を付けられたことはあったが、それだって、通りがかりの若い男に助けを求めたら、男がじいさんに何か説教をし始めて、その間にそこを離れて事なきを得た。なのに、この何でもない住宅街を撮って悪いわけがない。・・・と思っても、そこは言葉のほとんど通じない異国、なんとも打つ手がない。
それで、ニセ警官は通りかかったタクシーを止め(このタクシーもぐるだった!と思う)、乗せられてしまった。
タクシーの中で、所持品を見せろと言われ、カメラを2台だし、身体から離してはいけないと思って、ストラップを首にぶら下げた。(池波正太郎ふうに書けば、「それがよかった」)当時はたばこを吸っていたので、出したたばこに鼻を付けてそのたばこの匂いをかぎ、薬物が混入していないかを確かめるふりなんかをした。それから、携帯電話で署に電話を入れるふりをしたり。
やつの目当ては金だ。
最後には、お金を持っているだろう、見せろ、という。
これは、さすがに出したら最後だと思った。こんなむちゃくちゃな警官がいてはいけないし、言いなりになってはいけない。だいたい偽者だし。
僕は、走っているタクシーのドアを開けようとした。運転手はびっくりしてスピードを落とす。ニセ警官はドアを閉めようとする。その攻防が始まった。
                          つづく、かな
   

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