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海外ひとり旅の事件簿(5)催涙ガスって、こうなんだ [旅のこと]

こうして「海外ひとり旅の事件簿」シリーズを書いていると、本当に危ない思いをしたのに、よくまあすっかり忘れていたもんだと思う。頭の中が、たいしたおめでたい作りになっているんだろうね。
で、そんなには危なくはなかったけれど、忘れていたことを思い出した。
パキスタンのペシャワールでのこと。
町中を歩いていた。たまたま大きな交差点にいた。交差点の真ん中に、丸い花壇のようなところに信号機が立っている。(記憶違いかな、ロータリーだったのだろうか?)日本にはこんなふうに信号機はないけど、イメージしてみてほしい。
で、向こうから100人か200人くらいの男たちの集団が大きな声で何かを叫んだり、拳を突き上げたりしながらやってきた。何事かと思う。
で、反対側からは機動隊みたいな人たちがやってくる。もちろん武装している。たまたま僕はその真ん中。
カメラマンって、ちょっと病気みたいなところがあって、カメラを持っていないとただのおっさんだったり、ただの酔っ払いだったり、ただのスケベ親父だったりするけど、カメラを持つと病気になる。
「撮らなきゃ」と反射的に行動する。
僕はその花壇みたいな信号機の鉄柱に身を寄せて、撮ろうと狙う。
デモ隊と機動隊がさらに接近する。突然、何発もの銃声が響いて、叫声をはりあげながら男たちは散りぢりになり、そこら中を白煙がおおった。やばい、と思って男たちが逃げるようにどこぞの陰だか、たまたま開いていた家の庭にだったか、とにかく駆け込んだ。
最初はそれが催涙ガスだとはわからなかったが、強烈な刺激で目を開けられない。とめどなく涙が滲み出す。鼻の奥まで突き入ってくる刺激は後頭部まで突き抜けそうだ。この感じを言葉にして伝えようと思うのだが、ぴったりの言葉、ぴったりではないにしてもそれなりに伝えられる言葉が、見つからない。
一緒にいたパキスタン人と目が合い、たまらんな、という顔をしあった。
このデモ隊と機動隊の衝突は程なくおさまったが、しばらく涙は止まらなかった。

何を抗議してのデモだったのか、全く知らない。

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