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海外ひとり旅の事件簿(6)九龍城砦で麻薬パーティー??? [旅のこと]

今はなき香港の九龍城砦。
香港には一度は行ったことがある。二回行ったような気がしないでもないが、だとするといつだったのだろうか、と思うと心当たりがない。きっと一度きりだったのだろう。

中国に入るために、香港に一週間くらい待機していた。
そのころ中国からいわゆるボートピープルが密入国してくるのが大問題になっていた。それで調べてゆくと中国南部ベトナムに近い地方から船が出ているということがわかって、具体的な町、港もわかり、そこに取材に行こうということになったのだった。もちろん僕がそんな町を探し当てたわけではなく、その取材を企画したジャーナリストからの依頼だった。ちなみにTBSの「ニュース23」という番組の仕事だった。

香港でとりあえず僕がしなければならないことは、ちゃんとビデオカメラを回せるように練習することと、ビデオカメラをあまり目立たないようにする入れ物を工夫して作ることだった。
それは程なくすみ、待機の間に九龍城砦にタンケンに出かけたのだったろうと思う。

ネットに載っている画像をいろいろと見てみると、どなたか存じませぬが、こちらの御仁のページの写真が僕の記憶のイメージに近い。
http://www.geocities.co.jp/SilkRoad/9613/kyuryu/kyuryu1.html
で、薄暗く狭い通路の上は、むき出しの電線が何十本ととおり、その電線の垂れ下がりのところから何の汚水か、たえず汚水がしたたり落ちていた。こんなところでは人に出会うのは恐ろしい気がする。かといって、全く人に出会わないのもまた気味が悪い。
何人かすれちがったりしたかもしれない。よくは覚えていない。

僕は電線汚水の雨宿りをしながら、どっちに行こうかとか考えていたのだろうか。
たまたま通りかかったの20代だろう若い男性が「どうかした?」というように話しかけてきた。
どういう成り行きだったのだろうか、確かに彼は
「いまからお祈り会に行くところだけど、よかったら一緒に来ないか」
と、僕を誘ったのだった。
さすがに一瞬考えてしまったが、それでもすぐについて行くことにした。
すぐ近く、入った部屋はほとんど何も置いていない真っ白い空間だった。外の電線雨の通路からは全く想像できない。
何人かの若い男女がすでに集まっていた。
かなりやばい気がした。どうしてそう思ったのかはっきりはわからなかったけれど。その「やばさ」を、たとえば「そこにいる人たちが・・・」というのもしっくりこないし、「部屋の作りが・・・」というのもしっくりこない。「雰囲気が・・・」としかいいようがないのだろうが、どう見ても一般的なお祈りを始めようという感じではなく、秘密のお祈りというか、秘密のお祈りのようなものというか、そんな感じが伝わってくる。
この部屋が「お祈り」をするために「幸せになる何か特殊な煙」に満たされてゆくような、そんなイメージが浮かぶ。絶対間違いない。・・・きっとそうに違いない。・・・そうかもしれない、かな。
僕はあいかわらず所在無く立っている。
ちょっとして、司教か坊主か神の御使いかボスかわからないが、そんな男が入ってきて(といってもやっぱり若いのだが)、それに気づくなり、僕を連れて入った彼は、すすすと近寄って何か言った。事情を察したたぶんボスは、つかつかと僕のところに来て、
「折角だけど、初めての人にはちょっと遠慮願っているんだ・・・。悪いね」
というようなことをいった。
よかった、これで出してもらえる。
僕も失礼をわびて、電線雨の通路に出た。こんな電線雨が懐かしく思える。
いつも母に言われたことを忘れてしまう。
「知らない人にはついて行くな」

それだけのことだった。事件は起こらなかった。

書きながら思い出したのだが、香港には、二回行っている。
というのは、香港から中国に行って撮影をして、その帰りまた香港に寄っているからだ。
中国での仕事は、とても緊張するものだった。だから、行きの香港と帰りの香港では、全く違う街だったのだ。
だとすると、帰りの時に九龍城砦に行ったのかもしれなかった。
また思い出した。入社案内パンフレットの撮影でKさんと行ったな。屋台が並ぶ有名なところで軽くぼられたっけ。

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