SSブログ

石垣島の商店街スタンプ [日々の生活のこと]

30代の中頃のことだから、もう十何年も前になるが、一ヶ月くらい沖縄を旅した。
どこをどう行ったか定かではないが、仕事も絡めてやんばる(大宜味村、今帰仁村)と阿嘉島、そして全くプライベートで与那国島、石垣島、竹富島、それと鳩間島、だったろうか。日程は鳩間島の豊年祭に合わせて組んだのだったと思う。

石垣島の白保の海で珊瑚の群落を見に行った。シュノーケルは咥えるものの、僕は足ひれがうまく使えないので、足ひれは持たずに船に乗り、海に入ってから足のビーチサンダルを手にはめなおして、水をかきやすいようにして泳いで潜って珊瑚や熱帯魚を見たりした。変な格好だったろうと思う。いつも船を出しているだろうその船頭のおじさんが
「にーさんは泳ぎが達者ね。」
とほめてくれた。
海で生きている人に泳ぎをほめられて嬉しかった。

石垣の町はずれの安宿に何泊かした。校庭に大きなデイゴの木のある小学校が近くにあり、こぢんまりとした作りの家々がならぶ古くからの地域で、新しい商店街からは遠かった。朝飯用に菓子パンとかカップラーメンとかを買いに、近所のごく普通の昔ながらのお店に立ち寄った。品揃えの少ない中からパンと飲み物を手にとってレジで支払いをすると、おつりと商店街のスタンプ、切手よりもまだまだ小さいスタンプを何枚か渡された。僕の後ろにご近所らしいおばさんがレジを待っていたので、僕が「使います?」と聞いたら、瞬間びっくりしたけれども、「ありがとね」といってもらい、そして、その一瞬あとに僕を見て
「あなたにはいいことが起こるね」
といった。そして、店番のおばさんも少しにこっとして肯いたようだった。
「あなたにはいいことが起こるね」か。
そのときはその意味がわからなかったけれども、今思えばそんな言葉をもらえたこと自体が僕にとっては素敵なすばらしいことだった。
言葉は心に刻まれ、そしてその刻まれた言葉は予言かまじないのような力を持って明日を作ってゆくように思える。

コメント(2) 

コメント 2

秋桜

言葉に導かれて

わたしは仕事上、否定的な言葉ばかり聴いています。
その時はいつも苦しさと闇に包まれています。

けれどしばらくそこにじっとして耳を澄ましてみると
どこからか
そう・・・桜の花びらがひとひら舞い降りてきたように
優しい言葉が舞い降りてくるのです。

わたしのこころがすとんと収まり
相手の方の顔が透き通る瞬間です。

わたしはいただいた言葉を語ることが出来る。
なんと幸せなことか。
きっと良くなると信じさせてもらえるから・・・。

by 秋桜 (2010-05-24 11:43) 

sutou

桜の花びらがひらひら舞い降りてきたように、
とは美しく素敵な表現ですね。
そんなふうに優しい言葉や暖かい言葉が舞い降りてきたら
本当に素敵ですね。
いいですね、秋桜さん。
by sutou (2010-05-26 11:35) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。