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ベルマーク委員会 [学生の頃のこと]

僕がいた中学校には「ベルマーク委員会」というのがあった。風紀委員会とか図書委員会とか、そうした委員会と同じように。
毎週火曜日が集計の日で、この日の放課後は細長い畳の部屋で遅くまで集計作業をしなければならなかった。あの小さいベルマークを何点何点と数えるのは大変な作業だった。伝統的にというか、ベルマークの収集に関してはとっても頑張っている学校で、全国で2位だったりもした。
3年生の時、僕は生徒会長をしていた。
生徒会担当のO先生のいうには、ベルマークは学校の備品のためのものであって、生徒会の委員会にはなじまないと。そんなことをいっていたと思う。それで、僕が生徒会長をしていたときの総会で、ベルマーク委員会を廃止ということにしてはどうか、とO先生に言われ、それを僕はよしとした。
そして、ベルマーク委員会はなくなった。
僕は、本当の本当はベルマークって大事だなと思っていたし、ベルマーク委員会も大事だと思っていた。それがない学校から見たらとっても変な委員会だし、理屈としてはO先生の言うとおりだったかもしれないけれど、でも熱くなって集計する様子やら、お昼の時にクラス順位が放送されて一喜一憂したり、クラスによってはしなかったり。なんだろう、よくわからないけど好きだったし大事だった。
思い返せば、そのころ僕は斜に構えて生きていたし、上からのことをよしとして受け入れ、自分の考えとか思いとか、そんなことを大事にしようとは思っていなかった。強いものには逆らってもばからしいとか、長いものには巻かれたらいいんじゃないとか、今の僕から見たら本当にいやらしい中学生だった。
僕はベルマーク委員会が好きだった。無くしたくはなかった。その善し悪しはあるからいづれ無くなるかも知れなかったけれども、でも、本当は僕はベルマーク委員会を無くしたくはなかった。そのままあって欲しかった。でもそのときはそんな自分の心に触れようともしなかった、見ようとはしなかった。

いまでもマヨネーズの袋やカレーの箱のベルマークが目に入ってしまうと、体のどこかがキュッと詰まって苦しくなり、すまないような身の置き場の無いような気持ちになる。なんと勇気がなかったことかと思う。
10代の後半は思い残すことの多い時代だというが、15歳の頃のことを今もこうして引きずっている。


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